「平山っ!サッカーしにいかない?」
ぼっーとしてたら声をかけられる。
「え…サッカー…?」
「イエス!琢磨も一緒に」
桜井くんの隣にいる私より少し小さい背丈の男の子。
シャープな目をした彼の名前は琢磨と言うらしい…。
「…私…下手だよ…?」
団体競技なんて上手くできた試しがない。
第一、学校でサッカーやってもボール回って来ないし…。
「大丈夫だし…。1対2だから」
ぶっきらぼうに言ったのは琢磨くん。
ちょっと冷たい言い方に胸がツキンとする。
ちょっと…さゆり…。そんなことで傷つく私じゃなかったよね…?
「ほら行こう!」
なんのためらいもなく私の腕を引っ張っる桜井くん。
私は強引に立たせられる。
そのまま外まで連れられダッシュ!
速い速い速いっ!!!
前にもあったよね?こんなこと!
「ゆっくりな」
だけど今回はスピードを緩めてくれた。
それだけで胸の奥がジーンとするのは何故……?
ーーーーーー
「大熊公園」
着いたのは大きめの公園。
家具が古くてブランコがもう、壊れそうだ。
「…古いね…」
「うん。おばあちゃんの思い出の地だからね」
思い出の地…?
「おばあちゃんとおじいちゃん、よくここでデートしてたらしいよ」
ーーーニヤリニヤリ。
せっかくのイケメン顔を崩す桜井くん。
おもしろ…。
「さっさとやろうぜ兄貴」
「お、ワリワリ」
桜井くんのところにボールが飛んでいく。
それをリフティングして私に飛ばす。
私もそれをして琢磨くんに返したら、
「意外」
琢磨くんの足の下に収まった。
「姉貴って運動出来るんだ…」
「そりゃ、成績優秀だもんな!運動も出来ないと」