陽射しが強く、外は良い天気。そして民は何の不満もなさそうに畑仕事をしている平和な村。




そんな村の畑仕事を見ながらボンヤリとしている160センチくらいの当時としては長身の美しい姫がいた。


肌は色白で髪は長く綺麗に整った顔。

何処から見ても良家のお嬢様である。





だが、この姫は毎日この場所にやって来て、ただ畑仕事をみる。または昼寝をする。




そして民はそんな姫を見て笑う。


姫なのに毎日何もせずフラフラとしているからだ。

オマケに姫は民に挨拶もしない、いわゆるコミュニケーションが取れていない。


村人はこの姫をうつけ者と馬鹿にする。




民のみんなは姫が長宗我部家の娘ということを知っており、民は長宗我部家の行く末に不安を抱いている。







姫は気が付いたら寝てしまったみたいなのか、もう夕方である。


畑仕事をしていた民も、もう家に帰っており、姫は真っ暗になる前に城に帰ろうとする。



一人ぼっちは好きだけど、真っ暗は苦手で幽霊の存在を信じている。


だから日が沈む前に走って帰る。






何とか城に着くと、もうヘトヘトである。


考えてみれば本気で走ったり・・・とにかく運動したの久しぶりな気がする。


毎朝父に稽古を受けさせられているけど、それ以上に本気になった気がした。




城に帰ると家臣の福留親政が姫の顔を見て驚く。

「ひ、姫?顔に落書きされてますよ・・・?」



「え・・・?」

姫は何も気付いていなかったみたいである。


「姫、みてくださいよ・・・!」

福留は鏡を持ってきて姫に己の顔を見る様にした。


「あ、ホントだ・・・。爺、拭いて・・・。」


姫は鏡を見るまで自分が顔に落書きをされているとは思わなかった。


だが、落書きされても何も思わなかった。



姫の顔に落書きした犯人は村にいる子供達と分かってはいる。


今までも何度も子供達に落書きされてきた。

だが、姫は自己主張が苦手なのか、怒るのが苦手なのか、とにかく姫は子供達からイタズラばかりされる。



この事に村人ならず長宗我部家臣団までも、この姫を笑い、うつけ者と馬鹿にしている。




だが、姫を大物と思っている家臣もいる。


姫に「爺」と言われた福留親政は姫を大器の持ち主と思い忠誠を誓っている。



そんな福留も本当にこの姫が跡継ぎで大丈夫か、最近不安になってきた。