「…ついて…ねぇな」

 今年最後の出勤の日、俺は『歳末課内大掃除』の指揮を水野女史に一任し、会社を早退した。

 帰るなりシングルベッドに倒れ込み、熱を測れば39度。

 目を覚ましたら、白いカーテンはオレンジ色に染まっている。

 (夕暮れ時、か)

 会社はもう締めの挨拶を終えた頃だろう。


…あの日、店にコートを忘れたまま、全力疾走した。

 翌日出勤したら、何故か立て続けにポット、花瓶、水差し等を持った女子社員複数に激突された。

 水浸しのまま年末の整理に終われ、土日も休日出勤した俺は、仕事納めの今日、すっかりダウンしてしまったようだ。


  ゴホッ。

  …咳をしても一人…か。