シオンside



「…グオン、いつか必ず来ると思ってたよ」


満月の夜、私は振り返らずに


呟くように言った。



「…」


何も答えないグオンの手には、


短刀が握られて、その刃を背後から私の


首に当てていた。



私は穏やかに笑うと、言った。


「グオンは間違ってない。私は王には相応しくない。」




「…こんな状況で、なぜ笑う。」


口を開いたグオンの問いに、私は




「わかっていたことだよ、今更恐怖なんて微塵も感じてない。一息に殺ってくれ」


と言い放つ。


グオンはその言葉を聞くと、ぐっと唇を


噛みしめて、短剣を振りかぶる。




「やっぱり…あんたには叶わないよ、シオン」



そう呟きながら、シオンに向かって短刀を


振り下ろす。



グオンの言葉を聞き、それはこちらの台詞だと


思いながら、私は目を閉じた。