うう、気持ち悪い。もう、酒なんか懲り懲り。見るのも嫌だ。

 今月の初めにうちの部長が交代し、昨夜はその新旧の部長の歓送迎会が催された。一次会はすき焼きの専門店で上等な肉をたらふく食い、焼酎のお湯割りなんかもグイグイ飲んだ。

 それでやめておけば良いものを、うちのチームだけで二次会へ繰り出した。そこはカラオケも出来るちょっと洒落たスナックで、やたらと盛上がってウイスキーの水割りを結構なペースで飲んでしまった。

 あまり酒に強くない俺は、当然の事ながら今朝は酷い二日酔いだ。このまま横になっていたいが、あいにく今日も会社へ行かなければいけない。

 むかつく胃袋のあたりを押さえながら頑張って体を起こした時、不意に俺の脳裏に、ある衝撃的な映像が浮かんだ。


 な、なんだ、今のは……
 もしかして、もしかするのか!?


 俺は慌てて辺りを見渡した。しかしそこは、間違いなく住み慣れた自分のアパートであり、一人暮らしだから当たり前なのだが、俺以外は誰もいなかった。

 なんだ、夢か……

 起きがけに俺の脳裏に映った映像、それは……妖艶な齋藤チーフのどアップな顔だった。いつもクールで冷静沈着な彼女とは別人のような、正に女って感じの顔だった。

 長いこと彼女がいないんで、溜まってるんだろうな、きっと。