―先生と見た青空―


秋の空は、見ていて飽きない。

瞬きをしている間に変わってしまう。

田んぼの脇を歩きながら、大きくなった稲穂を見て、お父さんを思い出す。

稲穂のようになりなさい、とお父さんは言った。

実るほど頭を垂れる稲穂かな・・・・・・

そう書かれた黄色い田んぼの絵が玄関に飾ってあったのを今でも覚えている。

その意味を知ったのは、ずいぶん後だったけど。


この田んぼ道を抜けると、駅からのたくさんの生徒と合流する。

だから、ゆっくりと空を眺めながら歩けるのはこの道だけなんだ。

いわし雲が揺れる。



泣き腫らした目をこすりながら、深呼吸して大きな道へと出る。

たくさんの生徒達の笑い声、話し声の中、聞こえたのはバイクの音。


ヴィィィィン


千里が教えてくれた。


高校の手前でエンジンを切るようにと校長からお叱りを受けたらしい。

本来なら大型バイクでの通勤も禁止したいところだ、と言われて、千里の大好きなシュートは落ち込んでいた、とか。