桃色を主としてグラデーションをつくる、寮の外の花壇の花々

その美しさは、植物好きな双子の弟、以倉千冬の目を輝かせた


「凄く綺麗だね。丁寧に手入れされていることがよくわかるよ」


花壇の前に膝をついて桃色の花の花弁にそっと触れた千冬は、そう感嘆の声を漏らす


「相変わらず、千冬はそーゆーのが好きだね。俺には分かんないけどー」


双子の兄、以倉千加は、そんな弟の横で「そんなに綺麗?」と花弁をツンツンとつついて言った


花が好きな千冬と、趣などにはあまり興味がない千加

どうやら彼らは相反する性格の双子のようだ


そんな2人の様子に、一緒に寮から出て花壇を見ていた1人が、彼らの隣にしゃがみ込んだ


「君たち双子、性格全然違うんだね〜」



声をかけたのは、5人のなかで最も小柄で、クリクリとした目、白い肌が女性的な雰囲気を醸し出す男子生徒だった