「ところでサー.....景は校長のところに何しに行ってたのーー?」


一年生がせわしなく荷物や届いたダンボールを解体していくのを眺めながら、咲夜が尋ねた


彼はテーブルに肘をついて腰掛けている


どうやら暇らしい


「えっと.....」

「ちょっと咲夜さーん.....こっちはダンボールを畳んでまとめてんすよー。手伝ってくれないっすかねー」

「ええー」


市河がダンボールを解体し畳みながら咲夜へ不満をぶつけると、千冬が申し訳なさそうに

「あの、先輩も.....お気になさらず」

と言った

「いいよ、これから一緒に生活するわけだし助け合い精神が大切だろ〜気にすんな」

「あ、ありがとうございます」


日向って優しいな.....


景はダンボールをまとめる作業を一緒にしながら市河を見て微笑むと、先ほどの質問に得意げに答えた


「そうそう、さっき校長先生のところへ行ってね.....なんと、大浴場の解放を頼んできたんだよ!」


その言葉に一連の流れを耳だけで聞いて作業をしていた他の全員も景を見る



特に今まで男子寮Bで生活していた二年生は驚いたような顔をしていた


「えっ、今までは大浴場じゃなかったの??」

荷物から顔を上げる満宵に景は頷く


「そうそう。今までは二つある個室のバスルームをローテーションで使ってたの」

「確かに9人でそれはキビい」


咲夜の言葉に結斗が反応すると、彼の肩に腕を回してニヤリと笑った


「いいの、咲夜?混浴.....だね?」

「.....うわキモ」

「景に相手にされない寂しさの現れじゃん?」


本人とライから冷たい言葉を食らっても結斗は気にせず、肩をすくめて景の横に膝をついた


「だって一緒に入ったら、咲夜より若干背が高くて、若干肌が白くて、若干身体つきが良い俺の身体がどうしても目に入っちゃうでしょ?」


ダンボールを紙紐でまとめるのに「若干」苦戦していた景を手伝いながらそういうと、景は思わず吹き出した


「ありがと。咲夜が凄い不満そうな顔してるけどね」


「咲夜を侮ってんなよコイツはお前より白いからな」


「それ布の時だろくっそ」


ライは殴りにかかってくる咲夜を止めながら

「でもまぁこの寮大浴場あったのか」

とこぼす