だけど必死にこらえた

泣き虫で弱虫だから

僕はあの子に釣り合わないと感じてしまうんだ




もっと強くならないと

願わくば彼女を守れるぐらい

僕は必死に目元をこすった





「失礼します」





……幻聴か?

そうに決まっている

じゃなきゃあの子の声が聞こえるはずない



ハハハ

僕もとうとう幻聴を聞くまで

あの子に嵌ってしまったか

もう抜け出すことは不可能だなアハハ




「白羽(しらはね)くんが来ているはずなんですけど…」




白羽

それは僕の名字

それを呼ぶのはあの子の声






…夢なら覚めないで