「…ル…ホタル…ホタル…」



私の名を呼ぶのは誰…?


優しい声は誰の声…?


あなたは私の王子様?


近付く顔に目を伏せる。



あと少し。

あと少しで…




…あれ?

うっ!
苦しい!
王子、苦しい!!



「…ぬぁ!?」



あまりの苦しさに瞳を開けると、目の前に現れたのは私とお揃いの高校の制服を着た男子。



「あれ?王子様は?」



全身白のタキシードを着ていた王子様はどこ?


「ねぇ、光。王子様はどこ?」



そう聞いてるのに光は眉間にシワを寄せるだけで何も答えてくれない。

聞こえないのかな。



「光。王子様はどこに行ったの?」



『お前な、夢と現実の区別がつかなくなるくらい熟睡すんな。ここで寝るなって何度言えば分かるんだよ。起こしてもなかなか起きねーし』