「おはようございますっ」


「……おはよう」





サラリーマンが使っていそうな

黒い手提げ鞄を持ったアイツが

やってきた




このホテルはあくまで

宿泊しか出来ない

ご飯は全て自分たちで負担するのだ

…朝ご飯だけでも出せって言うのにね




あたしの前に立った彼を見て

ふと疑問を抱く





「アナタ…
それで見えているの?」




右目は眼帯で見えない

それは昨日と同じだけど

血の海のように真っ赤な左目は

艶やかな黒髪によって隠れていた

…ハロウィンに出てきそうね




「え?
見えてますよ」


「…そう」