ケータイ小説 野いちご

恋する時間を私に下さい

VOL.10 時間の中に佇んで…

『OーGATA図書館』

古いロゴ文字の看板を目にして、いつも以上の緊張を感じる。
今日の私は、これまでの私じゃない。
どんなものにも屈しない。
それくらいの覚悟を決めてここへ来た。


(でも、いざ入るとなると勇気いるぅぅぅ……)

ヘナヘナ…と裏口のドアの前に座り込んだ。
こんな格好してるところなんか、礼生さんには見せれない。
私は、いつも通りの平気な顔で、「おはようございます」と入っていくんだから。

ごくっ。

唾を飲み込んで深呼吸。
それから、思いきって立ち上がった。

「……よしっ!」

お腹に力を入れてドアノブを握った。
ぎゅっと握りしめて、右に回転しようとしたけど……


「……あれ…?」

開かない。
開かないっていうか、もしかして、中から鍵がかかってる⁉︎


「うそっ…!」

今まではこんなこと、なかったのに……。

(…てゆーか、今までは私が司書として、館長の後に出勤するのを礼生さんが知ってたからでぇぇ…)


よくよく考えたら、私は昨日、仕事をやめると宣言したんだ。
その言葉を間に受けたのなら、今のこの状態は全くもって正しい。

「…じゃあどうすればいいのぉぉ…」

開館時間になるまで待つ⁉︎
開館時間になって、表口から入る⁉︎

「出てけ!」と言われたらどうする⁉︎
「入ってくんな!」って怒鳴られるかもよ⁉︎


「…あーもう…やっぱり私ってダメ……」


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