☆妙子side☆





ガラッと教室の扉を勢い良く開けて。

自分の席へ真っ直ぐ向かって、机の上に鞄を置くと。




「「「タエ!」」」




待っていたかのように、同じグループのメンバーがやってきた。

そしていつも通り、私の席の周りに座る。




「おはよぉ、妙子ぉー」



間延びしたいつも通りの口調で、欠伸をしながら里沙もやってくる。

…ほかのメンバーは何も言わないけど、わかる。

皆が心の中で、里沙を嫌っていることを。




じゃあ何故、言わないのか。

私が、自分から里沙へ話しかけに行くから。



誰かが決めたわけじゃないけど。

グループの中にある、明らかな上下関係。

だから誰にも、リーダーである私には逆らえないし、逆らおうとしない。




グループの中だけじゃない。

このクラスの中にもある、上下関係。

私は自分でもわかるほど、上位の位置にいる。

そんな私が、自分から話しかける、里沙も。