*:.。. 6.



中学に入ってすぐ、親父が死んだ。

突然のクモ膜下出血で、どうすることもできなかった。


もちろん、悲しかったし、辛かった。

とにかく信じられなかったし、すぐには受け入れられなかった。

だけど、その時、それ以上に、俺の中に強い感情が芽生えた。


これからは、母さんを俺が守っていかなくちゃいけない。

ついこの前、やっと身長を追い越したばかりだと思っていた母さんがやけに小さく見えて、泣き崩れている背中を抱きしめながら、そう心に誓った。


死んでからわかる、じゃないけど、家族における親父の存在は、とても大きかった。

家族が揃っていることがどれだけ大切か、今さらながら思い知ることも多かった。


だから、家族が三人で笑っていた日々は絶対に忘れちゃいけないと思ったし、実際、それは母さんと二人の暮らしを支えてくれていた。

目に見えなくても記憶の中で親父はずっと生き続けていて、家族と過ごした幸せな思い出は、永遠に消えない、薄れて行くことなんてないんだって、強く強く信じていた。


小学校に入ってすぐ始めたサッカーは、親父の影響からだった。

サッカー漫画に憧れていたのに、子供の頃、近所にチームが無くて、何となく諦めてしまったことを、親父は大人になるまで後悔していたらしい。

サッカー少年団に入り、高学年になってスタメンとして活躍するようになった俺を、親父はとても喜んでくれた。


俺はそれが嬉しくて、一本でも多くゴールを決めようと躍起になった。

少年団の練習が無い日も暗くなるまで公園で練習して、エースとして、元々、そこそこ強かったチームを、地区大会で優勝するまでに引っ張りあげた。