「・・・千菜ちゃんの身体が、もたないよ」




琉鬼が思い悩んだように呟く。
日に日に憔悴していく千菜を見て、黙っていられなくなったのだ。



あの日から、毎日のように千菜の中に現れる千代。
それは嬉しく、かけがえのない時間に思える。


それでも、それは確かに千菜の身体を犠牲にしていた。




「わかっている・・・」





鬼羅とて、そのことは気づいていた。
このままでは、千菜の身体の方がダメになってしまうと。

それでも、千代との時間はあの頃を思い起こさせてくれ幸せに満たしてくれる。



姿は似ているとはいえ千代とは違うその姿ではあったが、その纏う雰囲気が千代そのものであった。





「わかって、いる・・・」





自分に言い聞かせるように紡がれた言葉は空に消える。




夜が明ける。
今日もまた、千代が現れる時間がやってくる。