学校の門の100メートル手前ぐらいからはみんなバラバラになって学校に入っていった。




やっぱり、関係性のなさそうな私達が一緒にいたら目立つだろうからね。




なるべくシェアハウスのことは知られたくないし。




下駄箱で靴を履き替えて、教室にむかう前に、職員室に行った。




ガラッ「失礼します」




職員室に入ると、先生たちが振り返った。




ほとんどの人はそのままさっきまでの体勢に戻ったけど、一人だけ違う人がいた。





ニコニコとしながら私の方へと歩み寄ってくる人物ー私の担任だ。





「立川さん!久しぶりだね!大丈夫だったかい?」




「えぇ、まぁ…」




ほんとは全然大丈夫じゃないけど、今はなんとかなってるし。





「よし!じゃあ教室に行っててくれるか?」




「あ…はい。わかりました。失礼します」




私は職員室を出てすぐに立ち止まった。




え、先生と一緒に行くのかと思ってた!




何も紹介ないの!?1ヶ月休んでたのに!?




…もしかしてもうみんな知ってるのかな。



どうしよう。いろいろ考えてたらなんか行きたくなくなってきた…。




とりあえず教室の方に歩き出そうとしてみたけど、どうしても気持ちがついてこなくて体が動かない。





こんなこと…初めてだ。早く行かなきゃいけないのに。




気持ちが暗くなって、うつむいたその時。




ポンッと頭に手が置かれると同時に影が重なった。




そして優しく頭を撫でながら、耳元でなにか囁かれた。




ハッとした私は視線をあげた。




すると、そこに立っていたのは…




「だから、元気だして?」




ニコッと笑う隼也くんだった。




「隼也くん…」




「がんばってね、菜結ちゃん♪」




そして隼也くんは廊下を歩いていってしまった。