【杏菜side】



「…っ、はぁっ、はぁっ…‼︎」


もう疲れた〜っ‼︎


全力ダッシュで校門を抜け、下駄箱に滑り込む。


なのに………



–––––––キーンコーン………


虚しくチャイムが鳴り響き遅刻決定。


もう、なんで月曜日から寝坊しなきゃないのよ‼︎


「あんなに走ったのにぃ〜…」



諦めて下駄箱で息を整える。


上靴に履き替え、階段を登ると少し先に見覚えのある背中。


「あっ。和泉さん‼︎おはようございます‼︎」

「おはよ。お前、遅刻かー?」

「和泉さんだって遅刻じゃないですか‼︎」

「それ言ったらダメなやつ」


クスッと笑って、あたしの頭を軽くこずいた。


こう見たら、和泉さんだって普通にカッコイイし……。


もちろん、珀疾さんに一途だよ⁉︎


「そいえば、今月アレだよな〜」

「アレ?」

「おう。珀疾のバースデー」


バースデー………。


珀疾さんの誕生日〜⁉︎