起きると、ホテルの布団の中だった。

たぶん、あの後そのままで終わったんだろうな。


すると、神谷くんのケータイのアラームが鳴った。

「ん…。秋穂…?よかった…、見つかってなかったんだな。」

祐希くんが最初に起きた。

祐希くんは、いつも私の心配をしてくれていた。

それは、私がふったあとも変わらなかった。

【ひとりかくれんぼ】なんかやっていなければ、私は祐希くんと付き合っていたと思う。

だけど、やっぱり、どうせいなくなるんだから、祐希くんを悲しませないために、私はふったんだ。


「うん。大丈夫だった。でも、何だか色々おかしかったの。」

私は祐希くんに【ひとりかくれんぼ】で起きた事を全て話した。

「本当か?!完全に不利じゃないか。」

「うん。だから、隠れて、鍵もしめていたから、私、眠っちゃって…。起きたらホテルにいた。」

私は自分でもありえないと思うことをしていたんだと今更ながら思った。


「はは。寝たんだ!あんな状況で?すごいな!」

祐希くんが、久しぶりに笑った。

私もつられて笑ってしまった。

ああ。何だか懐かしいな。こんな風に笑っていられた頃が。


すると、アラームはスヌーズ機能があったのか、また鳴り出した。

でも、神谷くんは起きない。

「珍しいね。神谷くんが起きないなんて。」

「そうだな。おい、神谷、起きろ。」

祐希くんがそう言いながら神谷くんの頬を叩いた。

すると、祐希くんの動きがいきなり止まった。