バレンタインデーの5日前。
あの人に会うと異常な程にドキドキするようになっていた。
普通の友達のはずなんだけどな。何でだろう
目で追う回数が増えてる気がして、あの人といつもどおりに会話を交わす事に少し消極的になっていた。
「田代避けて!」
「は?」
――――――!!
昼休み。
私と友達がキャッチボールをしていると、ボールがあの人の顔に当たってしまった。
「いってて・・・」
「だから避けてって言ったじゃん」
私はあの人に近づく。
鼻に当たったらしいけど、赤くなってる程度で、鼻血も出ていない。
大丈夫そうかな
「ごめんね田代」
あの人の顔はどんどん赤くなった。
「あっ、綾音・・・お前、顔が近い」
「あーすまんねすまんね」
なんであの人が顔を赤くしてるのか、わからないまま少し離れる。
「大体、JKが教室でキャッチボールった何ごと?しかもテニスの硬球だし」
「えへへ、ごめんごめん」
「お前アレな。お詫びにさ、俺にバレンタインのチョコくれよ」
「ええっ!ああっ、うん!別に、余りでよければいいよ」
「絶対だぞ」
あの人はそう言って、私にボールを渡した。
ちょこっと触れる私の手とあの人の手。
手から心臓に電流が走るかのような感覚。
私は、あの人が好きなのかもしれない