「あったー?」


しょんぼりとした肩に問いかけたのは間違いだった。アキは振り返って、深く溜息を吐く。

「……予約しとけば良かった」

「昨日発売だったのにもう無いんだ。結構人気あったんだね」

「一昨日テレビで放送されたからだな、きっと。クレームつけてやろっかな」

普段は温厚なアキですが、趣味が絡む人が変わるのです。

うわ、今舌打ち聞こえた。

チェーンの玩具屋から出たアキの背中を追う。たぶん次のショップに向かうのだと思う。

付いてくと言ってしまった手前、やっぱ帰りたいとは言い出しにくい。でも帰りたい。