あれから緋麻里は教室に戻ってこなかった


私は午後の授業を受けてから家に帰った


「……ただいま」


いるはずなのにおかえりの一言もくれない


私の家、高岸財閥は世界に進出するほどの経済力がある


父、血の繋がらない母、その間に生まれた妹の四人暮らし


プラスして執事とメイドがいる


階段で二階に上がり自分の部屋に入った


パタンッ


一人部屋にしては広すぎる必要最低限の家具が置かれている


ここには洗面台も脱衣場もあって部屋に出なくても生活ができるようになっている


つまり、私は誰にも関わる事なく一日を過ごせるのだ


家族皆で食事をする…なんて私はできない


何故なら、ここでも私の居場所はこの部屋しかないから


その代わり部屋の前に食事がおかれる


お金はくれるから別にいいけど


……なんてね


お金なんていらない


私がほしいのは愛情、それだけ