水着!


夏!




「海~っ!」





真っ青の空の下。


麦わら帽子を被ったあたしと、


大きな鞄を持った鳴海は、


目の前の大海原に両手を広げた。


久しぶりの海にテンションは


上がりまくり。





「ね、綺麗だね!」





そう言って振り返ると。





「お前ら若いね~…」





目を細めている、


おじさん2人がいた。






「着替えて来るね」





「出た所で待ってっから」





2人と分かれ、


鳴海と更衣室へ。


さすがに休日ということもあって、


結構人が多い。






「今日ビキニ?」





「そうなの。恥ずかしいけど」






周りにはスタイルのいい


女性ばかりいて。


それを見て自分を見て、


また周りを見てあたしを見て。


自分の美しくなさに、


愕然とする。


真っ白な生地に、


ゴールドの刺繍が少しある、


いたって普通のシンプルビキニ。


そんなあたしをよそに。





「妃名子結んで~」






鳴海は自分のビキニのブラ紐を


あたしに向け、結べと言う。





「ちょっと鳴海、これで行くの?」





「だってこれしか持ってないもん」





鳴海は本当に誰にも負けないくらい、


スタイルが抜群にいい。


簡単に言うとボンキュッボン。


だからといって。





「これ外されたら終わりじゃん」





「誰も外さないでしょ。あ、でも千秋さんになら外されてもいいけど」





鳴海のビキニは、


濃いピンクで彩られた、


首も後ろもパンツも、


全部紐で止められたセクシーなやつ。


すごく似合うけど、


色目で見られそうで心配。





「気を付けてよね?」




「はーい!」





2人で必要な物だけ持つと、


更衣室を後にする。


出た所にいると言った2人を


探すことに。





「うわ、やっばいね」





「何が?」





「蓮哉さんと千秋さんでしょ、あれ」





そう言われて目を凝らすと。


少し向こうに、


上半身裸で頭にタオルを


巻いている蓮哉と、


白いパーカーを着た


千秋さんがいた。


探すまでもなく、


見つけた2人。






「お待たせしました」





鳴海の声で振り向く2人は、


あたしたちを見て一時停止。


そして。