それに、いじめが始まってから5ヶ月ほど経った10月の下旬の第三金曜日のこと。宰子と宰子の仲間の
須藤麻里子に教室で

『あんたわかってるの?
私、あんたに
男知ってそうね、
て言われたせいでとても悲しんでるの、
すごーい悲しんで傷ついてるのよ?!わかる?!
どうせ私男のことしか
考えてないし
男のことしか頭にないし
男のことしか考えてないわ!
私どうせ男のことしか
考えらんないわ
でも
男知ってそうね、てかなり失礼で礼儀知らず!
てか失礼だよ!』

と荒げた声で涙目で真っ赤な顔で
言われた。


ゆきえに、
あんた男知ってそう!と
嫌味のない感じで言ったのは、宰子であるのに。

須藤麻里子も
『あんたさー、言っていいジョークと悪いジョークわかんないの?
あんたさー、常識ないから
嫌われるんでしょ!
通常ならば、高校生ならもう
言ってはいけないジョークはわかるものよ?
高校生ならもう当たり前よ、
言っていいジョークと悪いジョークの区別くらい高校生なら、ついて、当たり前なのよ?!
常識ない奴は嫌われてもとーぜん!』
と、般若と鬼のような凄まじい形相で、ゆきえを一方的に責めた。


涙目は、目薬を使った演技だったが。


なのでゆきえがもう一度謝罪しないといけなかった。
すると宰子は
じゃあ許す、
でももう失礼なこと言わんといてな!!
そりゃーあたしは心広いから許してあげるけどなー
と仕方なさそうに言った。

なぜだろ、とゆきえは思った。
その言葉の意味は、よくわからないが
男の人(女の人)知ってそうね、の意味はわからないが
そんなに悪い意味ならなんで人に言ったんだろう。なぜ私が悪者にされるんだろう。
いじめられるのは私にも問題が何かあるのだろうか、いじめられる方に問題落ち度があるのだろうか、
なぜ虐める方は制裁や罰受けないのか。疑問だった。



ゆきえは夜



自室で

眠らずにずっと、一人で泣いていることが




何百回もあった・・・・。


体の水分がなくなるほど、泣いたときが
たくさんたくさん、あった。

それほど過酷ないじめ方で
いじめられていたのだから無理もないが、
いじめにあった二年の間、
泣かなかった夜なんて数えるほどしかなかった。