「「…」」

「相変わらずでけぇ家だな」

「そうですか?普通だと思いますけど」

「これが普通なら、俺の家どうなるんだよ…」



今、私たちの目の前には、大きなビルが建っている。

私、アユ、アックンが住む高ノ宮地区へ行くために降りる駅から徒歩10分。

アックンやハルキくんが通う高ノ宮男子へは20分。

その場所に、この大きなビルが建っている。



…実はこれ、ビルではない。

世に言う、タワーマンションだ。

つまり、家。

マンション。



ただ首を思い切り曲げても、屋上が見えないほど、マンションは高い。




〈ここが、ハルキくんの家なの?〉

「そうですけど?」

〈大きいね〉

「…そうでした。
あなたも馬鹿でした」

〈失礼な!〉




ハァと溜息をついたハルキくんは、ズンズンマンションへ入っていく。

それを私たちも追いかけた。