翌日の早朝、ようやく朝日が昇り始める頃。


あたしたちは全員で、信子長老の簡単な埋葬を終えた。


長さんや戌亥の葬儀は、日を改めてきちんと執り行うことになっているけど。


信子長老は、長の洞窟のそばにひっそりと葬られることになった。


表立っては手厚く葬れない、いろいろな都合ってやつがあるらしい。


難しいことは、あたしには分からないけど。


でも門川君や絹糸やセバスチャンさんが、よくよく考えた末のことだから。


寂しいけれどたぶんこれが、一番いいんだと思う。


殺風景な景色の中、小さな丸い形の石が置かれただけの、質素なお墓。


その前で子独楽ちゃんが、背中を丸めて座り込んだままずっと離れようとしない。


その後ろ姿を見ると・・・胸が痛んでしかたなかった。


しま子が子独楽ちゃんの隣に並んで、やっぱり大きな背中を丸めて一緒に座り込んでいる。


お墓の前には小さな黄色いお花が一輪、手向けられていた。


どこをどう探してきたものか、しま子が苦労して手に入れて来てくれたんだ。


花がひとつあるだけで、ずいぶんと心が慰められる。


ただの自己満足と言われればそれまでだけど。


でもあたしは心の底から、そんなしま子の優しさに感謝していた。


「里緒、もうそろそろ帰るんだろ?」

「うん」


近寄ってきた浄火に、あたしはうなづいた。


埋葬も終わって、あたし達は急いで向こうへ戻らなきゃならない。


浄火や子独楽ちゃんや、島の人たちのことは気になるけど。


信子長老が向こうに連れて行った、島民達を引き揚げさせなきゃならないし。


子作りマシーンが死んだことも報告しなきゃならない。