岩ばかりが目立つ景色の中を、しばらく皆で無言のままゾロゾロと歩いた。


門川君たちは珍しそうに辺りを眺めている。


「ずいぶん殺風景じゃのぉ」


「ずいぶん遠慮のねえネコだな、あんた」


「見渡す限り岩ばかりじゃな。これではさぞ暮らし辛かろうて」


「新鮮な飲み水の確保も、ままならねえよ。だから島は死亡率が高いんだ」


浄火が沈痛な声で言った。


「特に、子どもがな・・・。せっかく元気に生まれて、育ってくれた子だったのに・・・」


その言葉に、皆が再びシン・・・と沈黙してしまう。


重々しい空気を変えるように、門川君が浄火に話しかけた。


「浄火君、この島の当主殿はどちらに?」


「当主? 長のばーちゃんの事か?」


「ぜひお目にかかって、ご挨拶をしたいのだが」


「ふむ、そうじゃのぅ。門川の当主が来ておきながら挨拶もせず、というわけにもいくまい」


「断わりも無く島の中を嗅ぎ回るわけにも、いかぬでおじゃりましょう」


あ、そうだ。


そういえば、長さんに因業ババの事を教えるつもりだったんだっけ。


しま子の騒ぎで、それどころじゃなくなっちゃったから。


今度こそちゃんと説明して理解してもらわなきゃ。


「じゃあ行くか。長のばーちゃんの所に」


あたし達は村へ行く前に、あの洞窟へ戻ることにした。