「かばうも何も、この傷がウツボの傷であることは、海のそばで生きるお前たちが一番知っているであろう?」


島の人たちが改めて子どもの傷に目をやった。


興奮に先走ってしまって、今まで傷を確認するどころの話じゃなかったんだろう。


「その子を襲ったのは、しま子ではない。この海の魔物だよ」


門川君の言葉に、島民たちはめいめい顔を見合わせる。


彼の言葉に得心がいったようだった。


そして全員、バツが悪そうに沈黙してしまった。


「だが、お前たちに何の責任も無いって言いきれるのか!?」


それでも戌亥だけは、鼓舞するように言い立てる。


「平和だったこの島が、お前らが来た途端にこの始末だぞ!」


「それは、事実そうなのだろう」


「なのだろう、じゃないぜ! どう責任をとってくれるんだよ!?」


やたらと自信満々に、戌亥は胸を張った。


「あんたは門川の、さぞかしお偉いさんなんだろうがな、そんなものここじゃ通用しないんだよ!」