さて、どこに行こうか。


お岩さんの自室に戻るわけにはいかないよね。


それに屋敷の中に入り込んで、あの子作りマシーンと鉢合わせするのも嫌だ。


セバスチャンさんには・・・いまは一番会いたくないだろうし。



あたし達は悩んだ末、古い納屋へと向かった。


大きな木造の小屋の木戸を開けて中へ入り込み、外を確認する。


周囲に人影は・・・ないね、よし。



戸をしっかりと閉め、農耕具が積み上がっている隙間に座り込んだ。


そしてお岩さんのケガの具合を確認する。


うわぁ、改めて見るとけっこうヒドくいっちゃってるね、これ。



「お岩さん、ここで待ってて。あたしコッソリ救急箱持ってくるから」


「こんな傷なんて、たいしたことありませんわ」


「だめだめ。化膿したらどうすんの」


―― ドンドンドン!


木戸を激しく叩く騒々しい音が聞こえて、あたしはギョッとした。



「うあぁ!? うあ、うああぁーー!」

「しま子!?」


げっ。ちょっとちょっと静かにしま子っ!


そんな大声出して、太鼓みたいにドンドン打ち鳴らさないでよ!


ここにいるのがバレちゃうじゃん!


「しま子、シー! シー! いま開けるから!」


戸を開けると、白くて小さくてフワフワしたものを手に持ったしま子が立っている。


あれ? そのフワモコは・・・


「あ、子猫ちゃん!?」

「にーっ」