「でね、でねっ、その後彼方くんの友達と楽しく話してねっ」

「……はいはい、よかったねぇ」



クリスマス迫るある日。昼間のオフィスで先日の休日の話をのろけるように話す私に、莉緒な呆れたように適当な相槌をうつ。

彼方くんと付き合ってから、私の話はいつも幸せいっぱいだ。



「もーっ、莉緒ってば聞いてる?」

「聞いてるってば。楽しそうでなにより。さぞかし幸せなクリスマスになりそうね」

「うんっ、まだ約束はしてないんだけど」



季節はもうすぐクリスマス。そう、イベントが大好きな私には楽しみな日のひとつだ。

今年のクリスマスは金曜日。なら夜に会って、次の日までお泊まりも出来るし……沢山彼方くんといられるなぁ。

考えただけで「うふふ」とにやけてしまう顔に、デスクの上ではヴー、と携帯が鳴った。



「あ、メールだ。彼方くんから!」

「あらあら、会えない時まで仲の良いこと。なんだって?」

「えーとねぇ、『クリスマスのことなんだけど、サークルの集まりがあるらしいから会えないんだけど、いい?』だって!……え?」



って……クリスマス!?会えないの!?

浮かれ気分から一転、再度メール画面を見直すものの、そこに書いてあるのはやはり『クリスマスは会えない』の文面。

そ、そんな……そんな……!



「そんなぁー!!」

「あらあら、ご愁傷さま」



半泣きで「うわーん!!」と頭を抱えデスクに伏せる私に、莉緒からは笑いたいけど堪えているような声が返ってくる。