【碧依side】



俺のせいで羽珠が傷付いた。


一番したくなかったこと、好きな子にしちゃった。


怒っちゃって、あれからまともに口を聞いてくれないし。


原因はユリア。


最悪………。



オレンジの夕日が射し込む放課後の教室で、俺はユリアを呼び出した。


「話って何?碧依」

「ユリア。どうして、羽珠に俺のこと全部話したの?余計なことされたくないんだけど」

「だって、あの子ジャマなんだもーん。婚約者がいるのに、碧依も浮気でしょ?違うの?」

「そうだね。形は俺ら婚約者。だけど、俺は認めてないよ。大切なのは、羽珠しかいないから」

「……っ」


ユリアは悔しそうに顔を歪めた。


これは絶対に変わらない。


俺が大切なのは羽珠に変わりないよ。


「…そんなこと言って良いと思うの?碧依のパパとママに言っちゃうわよ!」

「勝手にしなよ。俺、医者継ぐ気もないから」

「ふんっ。もう、碧依なんて知らないからねっ!あの平凡女とせいぜい夢見てなさいよ!」

「うん。そうする」



家柄なんて関係ない。


もう縛られるのなんて、やめてやる。


この先も、付き合う女の子も全部俺の勝手じゃん?