「隣のやつと意見文交換しろー」


現代文の先生の声で、ルーズリーフを隣の真鍋新(まなべあらた)君と交換した私は、少しだけ目を見開いた。



机の上の字とそっくりだったから。



でも、新君に今までそんな気配を感じたことがない。


彼は私に対して特に無愛想だった。


でも、時折。

「忘れたんだろ、貸してやる。」

といって消しゴムを貸してくれたり。

背の低い私に変わって、日直の時さりげなく黒板を消してくれたり。


とにかく優しい男の子だとはわかっているつもりだ。


でもそんな新君が、あんな楽しいやりとりを、しかも私と、続けてくれるのだろうか。