休日、たまには少し遠出しよう?なんて言った莉乃に誘われるがまま、電車に揺られて1時間。
大都市まで出れば、たくさんの人が賑わっていた。
「やっぱり帰る………?」
あまりの人の多さに自由に歩けず、イライラしていた俺に気付いたのか、恐る恐る尋ねてくる。
「……来たいって言ったのはそっちなんだから、今更帰りたいとか勘弁してくれない?」
「………う、うん!」
分かった!と満面の笑みを浮かべた莉乃。
あまりの人混みにはぐれないようにと手を握ってやれば、何度も俺の顔と繋いだ手を見比べて、ぎゅっと手に力を入れていた。