いつものように
学校から、まっすぐ家へ帰り
誰もいないアパートの玄関の鍵を
背負っていたリュックの中から
取り出し、鍵穴へ差し込んで回した。


・・・・?開いてる。


夕方4時過ぎ。

この時間、お母さんは
仕事でいないはず。


朝、出かける時も
私より先に出かけたから
仕事に行ってるはずなんだけど・・・


泥棒・・!?


ゆっくりと扉を開け
近くにあった傘を振りかざすように
中へと入ると



「真弓?あんた
そんな格好で何してんの?」


目を丸くして
私を見ているお母さんの姿が飛び込んできた。


「え、あ・・・な、何も?」


慌てて後に傘を隠すように
笑い誤魔化した。


「突っ立ってないで
早く入りなさい」


「う、うん」



私、建野真弓 一ヶ月前の8月18日に17歳になったばかり。


そして、建野さゆり35歳。1人で私を育ててくれているお母さんだ。

父親はいないけれど、
1人2役をこなしてくれてるお母さんのおかげで
まったく気にならず

そこらへんの母子より
私とお母さんは
お互いを理解し合って
仲がいいと思う。

ううん、そう


・・・・思ってた。


今日、この日までは。