ケータイ小説 野いちご

声を聞くたび、好きになる

1 無職の私と頑張る彼



 女の子がオシャレをするシーンはたくさんある。一般的にはそう言われているけど、私は違う。

 私がオシャレをするのは、外へ出掛ける時じゃなく、彼が家に来てくれる時だけ――。


 いつからだろう。気が付いたら、三つ年上の幼なじみ・小野流星(おの・りゅうせい)のことを好きになっていた。

 
 流星は昔から面倒見のいいお兄ちゃんという感じで、何かと気にかけてくれた。それが当たり前になるうちに、私は彼にいつも守られていたいと思うようになった。

 彼より年下なせいか、私はいつも流星に妹扱いされてしまう。昔はそれが嬉しかったんだけど、二十歳になった今ではそんな扱い方をされるのが微妙になっている。


 女として、流星に愛されたい。

 日々、そんな気持ちは、熱く静かに募ってゆくのに、私は自分からアクションを起こして『妹ポジション』を脱却する勇気は持てなかった。

 流星が中学を卒業した日、高校を卒業した日、声優養成学校を卒業した日。彼の人生の節目が訪れるたびに告白を考えたけど、年々大きくなっていく想いは私の行動力を奪ってしまうらしい。


 そうして、現在。流星は声優デビュー三年目二十三歳、私は無職の二十歳になった。


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