ケータイ小説 野いちご

刑事と仲直り

不満

 私には彼氏がいる。

 年は7つ上の32歳。

 仕事は、刑事……。

 想像通り、全然会えない。

 電話もできない。

 ただ私の中の「好き」という気持ちだけで繋がっているようなもので、彼からの「好き」とか「会いたい」とかそういう言葉は……。

 酔った拍子に言ってくれたりするけど、酔わないと言えないようなことなんだろうか、と疑ってしまう。

 身体の関係もあるけど、それだけは積極的で。それだけなんじゃないか、都合の良い女になっているんじゃないかと不安になってしまう。

『もしもし、香奈(かな)? 元気してたか?』

 二週間ぶりに電話をくれたと思ったらこれだ。

 背後ではテレビがついていて、おそらく何時間か前に帰宅して暇になった頃合いで電話をかけてきたのだろう。

 本当に会いたいのなら、仕事が終わってすぐに電話をかけてきてくれればいいのに。

「うん。今……家にいるの?」

『あぁ。もしかして、お前も俺とおんなじテレビ見てんのかなあと思って……。何見てた?』

 テレビなんか見てない。今お風呂から上がったばかり。だけど、そんなこと、分かんないか。

「あ、うん……録画したやつ見てた。アニメ。ワンピース」

『俺と一緒じゃん!』

 彼はわざわざ録画までして見てるけど、私は本当はそんなの録画したことないし、興味もない。

 だって、本当に録画してる刑事物のドラマの名前を挙げたって、彼が見ている筈がない。

『それ見たらもう寝る?』

 遠回しに、アパートに来いと言っているのが手にとるように分かる。

「……うん……でもまだ、早いしね……」

『うち、来る?』

 それならなんで、仕事帰りにうちに寄ってくれないんだろう。こんな夜遅くに、私が出歩くことが危険だとは思わないんだろうか。

「……15分くらいしたら行けるかな……」

 逆にうちのアパートに来てくれればいいのに。

『うん。じゃ、待ってる』

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