今でも鮮明に覚えている。



5年前のあの日の事。



『あっ!もしもし…?武瑠?』



『なぁ、今から飲みに行かねぇ?』



『…ああ、いいよ。』



暇を持て余しソファに寝そべっていた俺に
古い友人から1本の電話が入った。



今日は特にやる事もなく
気づけば一日中ゴロゴロしていた。



だから、



そんな急な誘いにも
俺は迷う事なく即答した。



『じゃあ、1時間後に
いつもの居酒屋でな!』



『ああ。オッケー!』



電話を切って意味もなく
天井をぼうっと見上げてみた。



高校を卒業して、早2年…。



進学も就職もせずに



ただ流れていく日々を
適当に過ごしてた20歳の俺。



夢も希望も見出せず
これといった目標もない。



そんな"つまらない男"だった。