「5月、といーえーばー?」

朝のホームルームで、エルが人指し指をたてて猫撫で声で訊いた。

ぞわぁ…!

そんな音が聞こえるくらいに、1Dの生徒の全身に鳥肌がたった。

エルは気付かず、ニトニトしながら答えを待っている。

「…エル…、お前なぁぁ…っ」

「き、きもい。あんなに下手な作り笑い初めて見た…」

「声が、声が…、うあああぁぁっ!」

「あっ、見て見てー。俺顔から腹くらいまで鳥肌ー」

「甘いな。俺は太ももにまで鳥肌だよ」

「…てめぇら…、いい加減にしやがれよ…!?」

エルが拳をブルブル震わせ、こめかみに青筋を浮かせて言った。

「てめえがきしょい顔すんのが悪…ぐぼっ!」

抗議した生徒の元にエルは光の速さで行き、腹に一発を叩き込んだ。

「よーし、お前らぁ!! 一列に並べぇ!!
これから気合いを入れてやるぞー! 今日も一日頑張れよー!!の意味で!!」

ぐったりしている生徒を引きずり、全員を並ばせた。