ビビビビビ…という不快な電子音で俺は目を覚ました。
同時に鳩も飛び出してきた。なにあれ。
特に目元がひどくて、上と下に長いまつげが描かれている。
目はブラックホールを思わせるような一点の光もない黒で、見てると吸い込まれそうだ。
そしてなぜか額には『九鳥』と……あ、違うあれ『鳩』だ。
とりあえず目覚まし時計を黙らせ、鳩さんを丁重にお帰りいただく。
さて…。
鳩時計の針は7時半前を指している。
対する目覚まし時計は9時過ぎだ。
そして俺はこの鳩が正常な時間を指しているところを見たことがない。
まぁ、つまり、なんだ。
遅刻である。