雨に似ている

恋愛(学園)

竹久祐/著
雨に似ている
作品番号
1200009
最終更新
2024/05/07
総文字数
56,213
ページ数
143ページ
ステータス
完結
PV数
17,698
いいね数
0


あの頃
僕はショパンが
大嫌いだった


ショパンを弾くたび
自分の才能の無さや
自分の技量の限界を
思い知らされた


音を立て崩れていく自信
自分の存在価値さえも
わからなくなっていた



『鯨魚取り
海や死にする
山や死にする死ぬれこそ 
海は潮干て
山は枯れすれ』


万葉集の
無常を詠んだ歌


人の命は儚くて、
誰にも
気づいてもらえないような
僅かな雨雫のように
草木を潤すことさえ
できないかもしれない


けれど季節は巡り、
生きとし生ける全てに
雨は降り注ぐ


ピアノの音が
切なくて悲しくて

空が泣いているのか
僕が泣いているのか
わからない

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