気づいたら、好きになってた。 でもそれは絶対に 好きになっちゃいけない人。 だから、この気持ちは心の奥にしまって 何重にもカギをかけて。 誰にもわからないくらい、 自分でも気づかなくなるくらい、 ぎゅっと気持ちを押しつぶした。 きっとあの人は幸せになって、 この気持ちもどこかヘ消えるから。 そう、思ってた。 車が甲高い鳴き声をあげて止まる。 視界がぐらぐらと揺れて 世界の色がすべて飛ぶ。 その中から鮮やかな紅が滲み出てきた。 「桜花ァッ！！」