虎六さんの作品一覧

桜草
虎六/著

総文字数/1

恋愛(ピュア)1ページ

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「絵、お上手なんですね」 果たしてそれは本心からだったのか。人一倍鈍感だとよく言われる自分では到底分かることの無い事なのだろうが、綺麗な笑顔を作っているそれには偽りはないように思えたのだ。 「…はあ。ありがとう」 「抽象画、ってやつですか」 「まあ…言われれば、そうだな」 自分の衝動のまま絵を描くのは、よくあることだった。一見すると様々な色が交差しているようにしか見えないそれは、確かに抽象画と呼ばれる類のモノなのかもしれない。 少女の問いに、俺は曖昧な返事を返した。少女は面白そうに顔を歪め、くつくつと笑い声を漏らす。 俺は、何故か白いキャンバスにオレンジ色をぶちまけたくなった。
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