たねさんのレビュー一覧

思春期の心の揺れや、生きている世界への期待、焦燥感、諦め、女子高生らしい恋愛感情など、とても綺麗にまとめられている作品。 「大人の事情」、「子供の事情」がどの世代が読んでも嫌味なくスッと理解でき、高校生だった自分を思い出したり、良いことばかりじゃない大人の世界を覗けたり、まるで一冊の教科書のようです。 恋愛要素の部分に至っては、拍手ですね! こんなの胸キュンに決まっています。 女子高生の女の子がされたら嬉しいこと、舞いあがっちゃうこと、傷ついちゃうこと、なんでこんなに女子高生の気持ちが分かっちゃうんですか!? 温かく冷たく、そしてやさしい物語です。

作者様の作品において、何度も感心させられるのは、作品の「リアルさ」と、その中にも忘れていない「不思議さ」です。 どのシチュエーションでも、どんな舞台でも、世界観が現実的で、例えば舞台が学校(教室)なら、「あー!そんなことあったな!」と思い出しながら読めるので、話に入り込みやすく、共感しやすく、長編であっても短編であっても、決して苦にならず読む事が出来るのだ。 しかし、そんな中にも、何かフワフワとした「不思議さ」が混ざっており、それが「ミステリー」の部分だと思います。 結末をみるまで、そのフワフワとしたものは消えず、舞台の違和感、主人公の違和感、周辺キャラクターの違和感、それを最後に全てスッキリとさせてくれるのが、この作者様の魅力です。 今回もいい意味で裏切られました!!

現代に溶け込む安心出来る場所。 そんな場所が今本当に必要な時代。 生きていくのって、ゆっくりでいいんだ、とホッとした。 安らぎの時間をくれる。 そんな作品。

人を大切に想う事、その温かさと切なさがとても胸に響く作品です。 「愛」故の「歪み」。 クルキの想いが苦しくて、言葉に出来ません。 この作品に出逢ってとても影響を受けました。 萌えの中にも、しっかりと存在するズキンッてする切なさが読み終わって尚、残っています。 とても大切にしたい作品です!