―もっと、刺激的な恋を。―

　「あ、お前、もういらねぇわ」 　新しい姫が迎え入れられ、黒竜会を追い出された真冬野瑚雪(まふゆのこゆき)。 　「……承知いたしました」 　幼い頃から総長・黒川アサヒのために尽くしてきた瑚雪は、姫の座を失ってしまう。 　「元姫」。そう呼ばれ、周りから距離をとられる彼女はしかし…… 「園芸部、入りたいです」 「からおけ……とは？」 「これがアイス！」 　――意外と、姫じゃなくなった生活を謳歌していた。やがて周囲は瑚雪の魅力に気づき始め…… 「ぼ、僕。お雪ちゃんのために学校来てるかも」 「お雪ちゃんて、桜みたいに笑うね」 「す、……す、すk、スイートピーって好き？」 　少女は初めて、やさしい恋を向けられる。 　一方そのころ、瑚雪がいなくなった黒竜会では問題が多発して…… 「おい！　今まで情報収集やってたの誰だ！？」 「あ、あの女です！」 「なんで言うこと聞かなくなった……！？」 「それは姫……元姫が今まで統制してたから」 「くそ、なんで何もかも上手くいかないんだ！！」 　でも、もう姫じゃないから関係ない。