そのまま佐奈は次の卵焼きにお箸をブスッと刺すと、口元に運んでいく。





「なんかさ、この子ほんと今の時間無駄にしてるけど、
さすがに本当はわかってるんだろうって思ってたのに
そうじゃなかったの…ほんとバカ……」





「さ、佐奈……?」





わたしにははっきりと聞こえない声色でブツブツと喋り続ける佐奈に声をかけると、今度こそはっきりと聞こえる声で話を続けた。





「だから言ったじゃん」





「……え?」





「今じゃないーーあの頃。
今、一番颯真君に近い存在なのは明里だよって言ったよね?
後悔しても知らないからねって。」






「……うん」





「うんじゃないよもー……」




その時、タイミングを図ったかのように、屋上から見おろせる中庭に、見覚えのある2人の姿が見えた。




それに佐奈も気づいたのかーー




「……あ。」



と佐奈も声を上げる。