「まちがっても、悠太の前で今みたいなカッコで出てくんなよ。」
「……は?」
そう言って、颯真は再び、わたしの濡れた髪に指を絡ませる。
「お前、男にとって、女の濡れた髪って結構威力あるんだぞ。」
「……はぁ……」
「……こんな状態のお前見て。
迫って拒否られる悠太が不憫。」
「ねぇ。なに言ってんの?」
ぶつぶつと一人言のように言う颯真の言葉は、
よくわからない。
そんなわたしを見て颯真はひとつため息をつくと、持っていた鞄を肩にかけ直した。
「なんでもねーよ。
男の事情。
じゃぁな。おばさんによろしく。」
そう言って、わたしの頭をぽんぽんとたたくと、背を向けて歩いていく。
颯真はいつもーー
スキンシップが自然だ。
だから、こんな些細な言動に、ドキッとさせられる。
「何度も気安くさわるな……ばか。」
きっと、本人は無自覚なんだろうけど。
