「いいよもう。
むしろ、颯真がわたしに優しいほうが気持ち悪い。」
「はぁ?」
精一杯のいつもの憎まれ口をたたく。
こんな口喧嘩が、わたし達の形だ。
「つか…お言葉だけどよ明里。
お前、前に俺に言ったこと、忘れたの?」
「……え?」
颯真は立ち上がると、すっかりわたしよりも高くなった身長でわたしを見下ろす。
「この前の傷の手当てしたとき、
お前が言ったんじゃん」
お風呂から上がって、まだ湿ったままの髪の毛に、颯真は指を通して。
首を軽く傾け、いつもの颯真らしからぬ、少し口角をあげながら。
「颯真は優しいよね……って。」
「………!!」
「あの言葉は嘘か?」
電灯の光の効果もあってか、颯真から出されるオーラが、妖艶に見えて。
いつものーー
ただの意地悪な颯真だけではないみたいだった。
「……明里?」
どうしちゃったんだろう。
わたしは……。
顔が熱い。
