不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~




(あ……しまっ……)



そう思ったときには時すでに遅し。



シャーッ……と勢いよく出た水が、
わたしの指を狙ったかのように直撃。



「いっ……」



思わず手をひっこめて、いつもの癖で指先を口に加える。



佐奈には大丈夫と言ったけれど、思ったよりも深かったのか、傷はぱっくりと開いたまま。



もう血は止まってるんだけど。



「…………」



わたしの周りはまだ人がちらほらいるくらいで、
わたしの行動を気にかけたような人はいない。



それをいいことに、



「舐めときゃ治る!」



そんな女子からぬ自論を立て、
右手だけで洗い物を再開させようとした。




ーーのだけれど。





「……おいこら。馬鹿。」





ぐいっ……とわたしの左手が引っ張られる。





反射的に振り向くと、むすっと何かに怒ったような颯真が、わたしの手のひらをつかんでわたしを見下ろしていた。