不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~




そう声を上げたのは悠里ちゃんで。



と、同時にーー……



「……っ……!!」



わたしは声も上がらず、自分の指先を押さえた。



「大丈夫か!?上原。」



悠里ちゃんはぶつかった衝撃で、勢いよく手の甲を鍋にぶつけてしまったらしい。



あっという間に赤くなってる悠里ちゃんの手を見ると、颯真は悠里ちゃんの腕を引いた。



「いった……」



「氷は……ねぇな。
あっちの川ですぐ冷やすぞ。」



腕を引かれたまま、2人は川の方へと見えなくなっていく。



颯真くんごめん。と、悠里ちゃんの声が小さく聞こえて。



あんな時、颯真はほっとけないんだ。



わたしが子どもの頃もそう。



砂場で転んで膝から血を出してるわたしを
すぐに手当てしようって家まで引っ張ってくれた。



"ばいきんはいってうんだらこわいんだぞ!!"



って、痛い手当てを嫌がるわたしに、颯真はよく言ってくれた。



優しいんだ。颯真は。



……わたしだけじゃなくて。どんな人にも。



「えっ!?
明里、指から血出てんじゃん!」



「あ……さっきぶつかったとき、
包丁に手が当たったっぽい。
大丈夫。たいしたことないよ。」



「え…ほんと?絆創膏いらない?」



「うん、平気。ありがとう佐奈。」