「なに硬直してんの?」
「……っ!
は、離してよ……!!」
「はいはい。」
颯真はおどけた様子で、わざとらしく両手を顔の横に掲げる。
ほんと、人の気もしらないで。
わたしの身にもなってほしいよ。
どくんどくんと、まだ心臓の鼓動は早いまま。
「ん?なんか、揚げが入ってる。」
わたしのことなんて目もくれず、颯真は悠里ちゃんが炒めてる鍋の中をのぞきこむ。
「ん?そう!揚げ!」
手を止めることなく、悠里ちゃんは颯真の方へ振り向いた。そのまま、新しい野菜達に手をのばす。
「これ、カレーだよな?」
「そうだよ?
でも、揚げ入れたら結構美味しいの。
味もよく染み込んで。
上原家の特製だから、楽しみにしてて。」
そう言って、悠里ちゃんは可愛くにこっと笑った。
