不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~






颯真を目の前にして、わたしの頬の温度は上がっていく。






「ぜ、全部やらせやがってってなに……!?
ちょっと忘れてただけじゃん!」






「"ちょっと"?

1限から5限までの黒板消しに、移動教室の施錠。
全部やらせといて、"ちょっと"かよ?」






「……っ……
だからって、そんな言い方するから、先生に言葉使い注意されて、生徒指導室に連れてかれるんでしょ…!」







「はぁ?
今、その話関係ねぇーー」







「颯真くん、あたしが日誌やろうか?」






ここぞとばかりに、颯真に声をかけた悠里にーー






「いらねぇよ!!」






「………………」






……あ。という顔をした颯真。






その颯真に、悠里は笑顔を崩さない。





その表情の裏にはーー






「颯真くん。
なんであたしが怒鳴られるの?」





「あぁ……いや……」






あの日以来、悠里は少しダークな部分をわたし達に向けてくる。





どうやら、颯真のことをきっかけに、わたし達に素を隠す必要はないと思ったみたい。






それだけーー





颯真に良く思われたいと思っていた悠里の気持ちが、少し晴れたということで。






「颯真くん。
明里はね、今日日直どころじゃなかったの。」





「……!
ちょっと佐奈……」





「悠太くんに話しようと思って、休み時間ごとにーーむぐっ……!」





慌てて、佐奈の口を途中で塞ぐ。





あれから、颯真と悠太くんも言葉を交わしていない。





そんな2人に、今、お互いの名前を出すことは避けたほうがいい気分がして……。





それに、自意識過剰じゃないけれど、わたしが絡んだことは尚更。





「………………………」





だってわたしはまだーー…





"それでもお前に言いたいことがある。"





"今度の夏祭りーー
いつもの場所で待ってるから。"





颯真にその返事どころかーー





夏祭りに関する話もしていないから。





「…………とにかく明里。

日誌、先に書いとけ。」






「え?颯真は?」






「俺は、先に担任に頼まれた雑用済ませてくる。

終わったら、日誌の最後のコメント書きに教室戻ってくるから。」